しあわせのハヤシライス

ダイエットをやめよう。 


ハヤシライスを、意味ありげに味わい、
丸の内の夜景をみながら、思う。


そう。私はこの1か月。
(も、経っていない、相変わらず堪え性がない)
ふと痩せたいと思いたち、食事制限をしていた。

自炊は、まずいスープの繰返し。
外食にいっては、罪悪感とカロリー計算機と戦う。


食生活を見直すことができた。
野菜はたっぷりとろう。
ラーメンはたまのご褒美にしよう。
発見のある、悪くはない生活だった。


ただ、ダイエット食って、徹底的に管理されてる。
なんというか、味気なくて、想像の余地がない。
食事に対して、痩せるという目的意識をもち、
機械的に栄養を摂取してきた。


今、ハヤシライスを食べながら、気づいたこと。

この、ことこと煮込んだハヤシライス。
1こと、に愛情が何グラム入っているかとか

ハヤシライスを初めて作ったひとは、
立派な口ひげがはえていそうだとか

そんな、まったくもって意味のない妄想を
あれやこれや、ひとりぼんやりしながら、
ごはんを噛みしめる。


これこそ、わたしにとって、
これ以上ない、しあわせだ。


食事って、意味とか意義とか抜きにして、
自由に、のびのびと、泳ぐように
楽しむ権利があると思う。


人生も、そんなものじゃないのかなあ。
わかったふうに、いってみる。


ハヤシライスを漢字にしたら、早矢仕。
この世界は、意味ありそうな、そうでもないような
ふんわりとしたものに、あふれている。


ごちそうさまでした。